学習性無力感からの脱却

あなたは学習性無力感という言葉をご存知でしょうか?
なんだか聞いただけで力が抜ける感じがしてしまいます。
この”学習性無力感”とは、動物を使った次のような実験にもとづいて、心理学者のセリグマン博士がを発見したものです。

 

【実験】
1)電気ショックを与えるパネルの上に、犬を置きます。
 一方(図の左側)は電気ショックを与え続けますが、その電気を止めるスイッチが無いので、そのショックを受け続けるしかない状態になります。
 もう一方(図の右側)にも電気ショックを与え続けますが、こちらのパネルには、電気を止めるスイッチがあるので、電気ショックを止めることを学習させることが可能です(図の右側)。
2)次に、片側は電気ショックゾーン、もう片側は安全ゾーンの2枚のパネルを置いて、その間を仕切ります。
 ただし、この仕切りは、犬が簡単に飛び越えて移動できるようにしてあります。
3)電気ショックを止める方法を学習していた犬は、当然のように安全ゾーンに移動しましたが(図の右側)、
 電気ショックを止めることができずにいた犬は、安全ゾーンには移動しようとせず、電気ショックを受け続けてしまったのです(図の左側)。
学習性無力感の実験図(セリグマンの犬)

 この実験で恐ろしいことは、”どうせ移動できない”とあきらめてしまったことで、すぐとなりにある安全ゾーンの存在が見えなくなってしまっていることです。
 つまり、”どうせ無駄” ”どうせできない” といったん思い込んでしまって無気力になってしまったので、次の行動を起こせなくなってしまっているのです。

無力感を全力で無くすために

 子どもの勉強でも、この実験と同じように、学習性無力感が起こってしまいます。
 例えば、
 ”算数の勉強の初歩でつまずいてしまい、”自分はどうやってもできないんだ”という体験をしてしまうと、
 ”自分はこれ以上勉強しても無駄だ”
と感じてしまい、そのあとも投げ出してしまうのです。
 最初はできなくても、ちょっとしたキッカケでデキるようになり、その科目が好きになった経験はありませんか?
 学習性無力感はこれと逆のことが起こってしまうのです。
 
 一度あきらめてしまうことで、できるようになるちょっとしたキッカケ、基本的な問題とかがあったとしても、見えなくなってしまうのです。
 これはとてももったいないことです。
 もし、このような学習性無力感に陥るような状況だけは、避けるようにしなければなりません。
 一番効果があるのは、自己肯定感を高めることです。
 また、子どもの学習への意欲を高めるには、モチベーションをUPさせることはもちろん大切です(←モチベーションUP術)。
 
 子どもはいつかは何かで必ずつまずくので、そのつまずいた時に、
それを克服する力、ほかに方法があるんじゃないか?
 と”自分で考える力”を養うことが重要になります。
  違うやり方を試してみる、時間をおいてやり直してみる、友達に聞いてみる
 このような自分で考えてみる力は、 勉強だけからはけっして学ぶことができない ということを忘れないでください。
 
 この力は、友達・仲間とのスポーツや遊びの中から気づくことが多いのです。一人でこつこつ勉強するだけでは、決して身につかない思考なのです。
 子どもの成績を結果だけで見てはいけません。どこでつまいずいているか?を的確に見てアドバイスすることが重要で、
このような考えてみる力を育てることが、最終的に勉強する子どもを育てることになるのです。




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