”子どもの教育では、叱るよりほめて伸ばすほうが良い”
子育てのキホンとなる教訓として、あなたは信じていませんか?
”「ガミガミ言うよりも、ほめることは子どものやる気を引き出す良い方法だ”
と思い込んでいないでしょうか?
そう思い込んでいる人は多いのですが、それは、人をほめることが良いとされる、次のような実験があるからなのです。
まず、成績に関係なく、ランダムに子どもたちを2つのクラスに均等に分けます。
一方のクラスには、
「このクラスの生徒は優秀だから、成績がどんどんよくなることが期待できる」
と先生と生徒に伝えます。
これに対して、もう一方のクラスの先生と生徒には、
「君たちは能力がやや劣るから成績はそれほど期待していないよ」
と伝えます。
そして、どちらのクラスも同じカリキュラムでまったく同じレベルで授業を1年間続けます。
そして、1年後に、この2つのクラスで学力テストを実施して成績を比べてみると、
”優秀だ”と言われたクラスのほうが、”劣る”と言われたクラスよりも平均して成績が良くなったのです。
このような実験から、
人は期待されたほうが効果を出しやすくなるとされ、
”ピグマリオン効果”と呼ばれています。
先生が生徒に期待を込めて接し、期待を受けとめる生徒たちも期待に応えようとして努力した
ということで説明されます。
「やっぱりほめて育てると、成績も伸びるんだな」と思われましたか?
残念ながら、それは違います。
勘違いしてはいけないのは、
「ほめた」のではなく、「期待した」
という点です。
「ほめて育てる」が間違いな理由
あなたは、「ほめて育てるのが正しい」と思っていませんか?
それは間違いです。
有名な心理学者のアドラーは、ほめて育てることの危険性を指摘しています。
理由は2つあります。
ほめる行為というのは、上下の人間関係の上に成り立ちます。なので、ほめる側は、相手を上から目線でみていることになります。
親子関係であっても、基本的には対等な人間関係であり、それぞれの行動は、本来はそれぞれが決めるものです。
ほめるという行為は、
「自分以外(=他人)の行動ををコントロールしよう」
という意識を働かせて、上の立場から子どもを見ているのです。
短期的には効果があるかもしれませんが、長い目で見ると、親子間で信頼できる人間関係を築くことができなくなってしまいます。
”ほめること”がなんらかの報酬(ご褒美)になっていると受け止めてしまうと、それ自体が目的となり、その目的のために行動することになってしまう
という点です。
「良い成績をとればゲームを買ってあげる」
といった物的なご褒美を与えると、それが目的となってしまいます。
これは、親が、モノで釣って子どもに勉強させて、自分が一時的に安心するためにやっているだけです。
一度のご褒美がキッカケとなって、ある日を境にずーっと継続的に勉強するようになった・・
残念ながら、そんな話はほとんど聞いたことがありません。
このホームページのタイトルにもあるように、”勉強ができる子”ではなく”勉強する子を育てる”ことを目的とするなら、この「ほめる」方法は果がないと言えそうです。
では、どうすれば良いのでしょうか・・?
ピグマリオン効果のように、”期待すること”は問題ありません。
親は子どもに、
「あなたはやればできるから、勉強を頑張って成果を出すことを期待している」
というメッセージを伝えることはOKです。
しかし、その期待を受けて、
勉強をするかしないか?
は、親がコントロールできません。
もし、その期待に応えてくれて、勉強を頑張ったら成果として成績がよくなれば、
「みんながうれしい気持ちになったよ、ありがとう・・・」
という感謝の言葉を出すことで、子どもはとても勇気づけられます。
子どもは親との強い関係で結ばれていますから、何らかの形で必ず期待に応えようとするものです。
その期待に応えようとする気持ちを大切にすることが一番大切なことなのです。
最悪なのは、
その期待に応えようとする気持ちを、ご褒美を与えることによって、物質的なものに置き換えること
です。
ご褒美で釣るようなことは、信頼関係にヒビが入る可能性があるので、決してしないようにしてくださいね。
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